
映画館のないこの町でときどき上映会が開催されているので行ってきた。
今回観たのは「イラン式料理本」という映画。
「イラン式料理本」のあらすじ
イランを代表する監督、モハマド・シルワーニ氏によるドキュメンタリー映画。
イランの新米主婦から料理を引退したベテラン主婦(100歳)まで7人の女性が登場し、台所に立って料理をしてもらいながら料理や夫に対する考えをカメラの前で語ってもらう形式をとっていました。
登場する女性はすべて監督の家族であったり、友人のお母さんであったりと身近な人たちばかり。
「イラン式料理本」の感想
見終わってみて…
この映画は面白かった!
イランは男尊女卑という勝手なイメージがあったけど、出てくる女性(特にベテラン主婦のお母さんたち)はユーモラスで明るくて、台所の太陽で旦那さんたちに大事にされていることがよくわかった。
さらに、若い女性たちを通して現代のイランの夫婦像も読み取ることができた。どこの国もあんまりかわらないんだね。
料理は機械や缶詰に頼ってしまうこともある。レシピはスマホでチェックする、とかね。
一番印象に残った女性
監督の義母(妻の母)が一番おもしろかった!
よく話し、よく笑い、豪快な料理を振舞っていた。
「最近の病気は出来合いの物が原因よ!若い人たちは機械に頼りたがる!」と語り、
「神様から与えてもらった手を使わなくっちゃ」と、クフテ(大掛かりなハンバーグのようなもの)のタネをこねるのに「去年洗った手だから大丈夫」とジョークを交えながら料理していた。
監督の妻(娘)は「母は他人の台所では料理ができないの、自分のさじがないとだめなのよ…」と言われる程、自分の台所が出来上がっていた。
途中からお姑さんも登場して、嫁いだ当時の話も語っていた。
「一人前の女にするために意地悪をしていた」と。
昔は「ご飯の用意がない」なんてことがあれば夫に「明日役所に行く」=離縁すると言われたそう。
料理はしつけの一貫でもあり、クフテのタネを叩きつけるときに「いい子になる(味がなじむ)まで叩きつけなきゃ」と孫に見せつけているらしい。
料理が生活の一部になりすぎて3食のごはんの用意がやめられないと語っていた。
イランの旦那さんたち
この映画を観た限り、年齢に関係なく料理を大事にしている奥さんの夫は妻に優しく感謝をしていたように感じる。
料理や片付けを手伝ったりする人もいた。
若いころにスパイスを入れすぎたまずい料理を出したのに黙って完食してくれた旦那さんもいたそう。
旦那さんに振る舞う料理は義理のお母さんから伝授され、旦那さんの好みに合わせていくことが一般的だったみたい。
料理への愛情を持てない夫婦は互いに言いたいだけ文句を言い合っていたように思う。
ラマダンの様子も出てきた
1ヶ月間、日没から日の出までに1日分の食事を摂る。つまりは日が出ている間は食事を(確か水も)取らないそう。
なのでラマダン中の食事はすごく豪華だった。
イランでは伝統料理はあるものの、盛りつけ方はそれぞれに工夫を凝らしていくそう。(すてき!)
監督の伯母さんはラマダンの意味についても説明していました。
「飢えを知り、食べ物への感謝を捧げる」ことだそうで、日中はその気持を持ちながら、夜になるとご飯をたっぷり食べてそんな気持ちを忘れがちになっちゃうと話していた。
衝撃の最後
ここを話してはいけないと思うので、書きませんが納得の最後とも言える。
家族における料理って本当に大事なのね。
